―養護教諭の専門性と根拠に基づく養護実践―
はじめに
総論 養護学概論
第1章 養護の解釈と養護教諭
1.養護とは
1)養護の解釈
2)教育学における養護
2.養護教諭とは
1)養護教諭とは
2)養護教諭の配置
3)養護教諭の職務と役割
4)養護教諭と生徒指導提要
5)養護教諭と子供の権利
6)養護教諭と教員の育成指標
7)養護教諭と青少年のポジティブな成長を支える理論
8)養護教諭の実践の現状と課題
まとめ
コラム)養護教諭とスクールナース/養護実践を記録・言語化し、次代につなぐ
第2章 養護教諭の歴史
1.養護教諭制度の変遷
1)学校看護婦としてのスタート
2)学校看護婦から養護訓導へ
3)終戦後の復興と養護教諭
4)昭和30年代から昭和40年代の養護教諭
2.子供の健康課題に応じた養護教諭の役割の変化
1)高度成長期における健康課題
2)心理情緒面の健康課題の増加
3)21世紀における健康課題の多様化
4)グローバル化、情報化による子供の健康課題の複雑化
5)チームとしての学校における養護教諭
まとめ
コラム)トラホームから子供を守る―広瀬ますの活動/養護教諭の観察力―小山安江の活動/教育者としての養護教諭―千葉タツの活動
3.養護教諭の免許と養成制度、現職研修
1)養護教諭の養成と教員免許
(1)教育職員免許法と養成の変遷とその背景 (2)養護教諭の免許が取得できる養成機関 (3)現職養護教諭の研修
まとめ
第3章 専門職としての養護教諭
1.専門職とは
1)専門職としての養護教諭と自律性
2)EBPと情報リテラシー
(1)EBPに基づいた養護実践 (2)養護教諭と情報リテラシー
まとめ
コラム)専門職としての養護教諭のキャリア発達にかかわる要因
2.養護教諭の倫理
1)学校と倫理
2)倫理の基本
(1)倫理とは (2)原則の倫理
3)養護教諭の倫理
4)養護教諭がおこなうケアの倫理
まとめ
コラム)インフォームド・コンセントとインフォーム・アセント/教育実習で学生が遭遇する倫理的課題から「教職の倫理」について考える
第4章 専門職としての養護教諭と研究
1.養護教諭が研究を行う必要性
2.研究のプロセスと基本的方法
1)研究疑問(リサーチ・クエスチョン)の設定
2)研究計画書の作成
(1)研究計画書に含める事項
3)データの収集・分析と解釈
4)文章化(論文作成)と公表
まとめ
コラム)養護教諭が実践研究を行う意義と課題
第5章 学校における連携・協働
1.現代的教育・健康課題
2.学校における多職種連携
1)多職種連携とは
2)学校における連携・協働の法的根拠
(1)教育基本法と学校保健安全法 (2)チームとしての学校 (3)令和の日本型学校教育
3)多職種連携における養護教諭の役割
3.学校における関係職種・関係機関等
1)学校内
2)学校内の組織・役割例
3)教員以外の学校内専門職
4)学校外の主な関係機関・専門職とその役割
4.特別なニーズのある子供の支援における連携・協働
1)合理的配慮
2)基礎的環境整備
3)個別の教育支援計画と個別の指導計画
5.危機管理の視点からの連携・協働
1)日常と変化する時代に向けての危機管理における連携・協働
2)非常時における連携・協働
まとめ
コラム)多職種連携の課題-専門職連携教育と異分野と協働した専門職連携教育・研修の促進-
第6章 養護教諭と学校保健活動
1.学校保健活動
1)学校保健活動の目的と内容
2)学校保健安全法と学校保健活動
3)学校保健活動における養護教諭の役割
(1)保健主事との協働 (2)組織的な学校保健活動の展開
2.学校保健計画
1)学校保健(全体)計画
2)学校保健(年間)計画
3)学校保健計画の策定
4)学校保健計画と養護教諭の役割
(1)児童生徒の健康実態の把握と課題分析および評価 (2)学校における教育全体を通じた取り組み (3)学校保健計画と保健室経営の関連
5)学校保健計画の評価の観点
まとめ
コラム)学校保健計画は、カリキュラム・マネジメントの先駆けである
第7章 養護教諭と保健室・保健室経営
1.保健室
1)保健室の法的根拠
2)保健室の役割・機能
3)保健室の施設設備・環境
(1)学校施設整備指針 (2)保健室の備品等の基準 (3)保健室の機能をふまえた配置
4)保健室の利用状況
5)他国の保健室
(1)アメリカ (2)オーストラリア
まとめ
コラム)新しい時代の学びを実現する学校施設の在り方について
2.保健室経営
1)保健室経営の目的・意義
2)保健室経営の法的根拠
3)保健室経営の方法
(1)保健室経営計画の作成 (2)保健室経営の評価
4)保健室経営におけるICTの活用と情報管理
まとめ
コラム)ICTを活用した保健室経営
第8章 養護教諭の活動過程
1.養護教諭の活動過程
1)養護教諭の活動過程の目的・意義
2.養護教諭の活動過程の展開
1)情報収集・アセスメント
(1)情報収集 (2)アセスメント
2)問題の明確化
3)目標・計画
(1)問題設定 (2)計画立案
4)実施
5)評価
まとめ
コラム)養護教諭の臨床判断
各論 養護活動論
第1章 保健管理
1.健康観察
1)健康観察の目的・意義
2)健康観察の法的根拠
3)健康観察の方法と内容
(1)方法 (2)内容 (3)特別な配慮を要する子供の健康観察の方法と内容
4)健康観察のさまざまな機会と流れ
(1)日常における健康観察の流れ (2)朝の健康観察 (3)学校行事における健康観察 (4)災害、事件・事故等発生時の健康観察
5)養護教諭の役割
6)評価の観点
まとめ
コラム)子供の不調をいかに把握するか
2.健康診断
1)健康診断の目的・意義
2)健康診断の法的根拠
3)健康診断の対象
4)健康診断の方法と内容
(1)検査項目と実施学年 (2)健康診断の流れ
5)養護教諭の役割
(1)健康診断を円滑に実施する (2)健康診断を健康教育の機会とする
(3)集団を比較することで教育活動の改善につなげる
6)評価の観点
まとめ
コラム)健康診断で児童虐待の早期発見
3.疾病管理
1)疾病管理
(1)疾病管理の目的・意義 (2)疾病管理の法的根拠 (3)疾病管理の対象 (4)疾病管理の方法 (5)養護教諭の役割 (6)評価の視点
2)子供に多い疾病
(1)食物アレルギー・アナフィラキシー (2)気管支ぜん息 (3)てんかん (4)心臓疾患 (5)糖尿病 (6)腎臓疾患
まとめ
コラム)食物アレルギー事故の教訓
4.感染症予防
1)感染症予防の目的・意義
2)感染症予防の法的根拠
(1)学校において予防すべき感染症(第一種、第二種、第三種感染症) (2)出席停止と臨時休業 (3)健康診断と感染症
3)感染症予防の対象
4)感染症予防の方法
(1)感染症予防のための三つの対策 (2)標準予防策(スタンダード・プリコーション)・感染経路別予防策 (3)学校生活における日常的な感染症予防対策 (4)集団発生(アウトブレイク)時の対応
5)養護教諭の役割
6)評価の観点
まとめ
コラム)健康観察のICT化の効果と課題
5.学校救急処置
1)学校救急処置の目的・意義
2)学校救急処置の法的根拠
3)学校救急処置の対象
4)学校救急処置の方法
5)養護教諭の役割
(1)養護教諭が行う救急処置 (2)学校における医療行為
6)評価の観点
まとめ
コラム)判断に基づく養護教諭の救急処置に求められる役割
6.学校環境衛生活動
1)学校環境衛生活動の目的・意義
2)学校環境衛生活動の法的根拠
3)学校環境衛生活動の対象
4)学校環境衛生活動の方法
(1)定期検査 (2)日常点検 (3)臨時検査 (4)その他
5)養護教諭の役割
6)評価の観点
まとめ
コラム)SDGsの取り組みと学校環境衛生
第2章 保健教育
1.保健教育の目的・意義
1)保健教育とは
2)保健教育の体系
3)保健教育の法的根拠
4)保健教育の意義
5)どのように学ぶか
6)養護教諭の役割
2.体育科、保健体育科における保健教育
1)目標
2)内容
3)授業方法
4)指導
(1)年間指導計画 (2)単元の指導計画 (3)1単位時間の指導計画 (4)学習指導案の作成
5)授業をつくる
(1)教育内容と教材 (2)教材研究
6)評価
(1)評価の意義 (2)評価の観点 (3)学習評価の進め方
3.特別活動
1)学級活動、ホームルーム活動
2)児童会活動・生徒会活動
3)学校行事
4.総合的な学習の時間・総合的な探究の時間
1)総合的な学習の時間・総合的な探究の時間とは
2)内容
3)特別活動、教科保健、総合的な学習(探究)の時間の比較
まとめ
コラム)「自分で考えて自分で決める」ことの大切さ
第3章 健康相談・保健指導
1.健康相談・保健指導の目的・意義
2.健康相談・保健指導の法的根拠
3.健康相談と保健指導の進め方
1)健康相談の基本的な進め方
(1)対象者の把握 (2)支援計画の立案 (3)実施と評価 (4)実施上の留意点 (5)記録と引継ぎ
2)保健指導の基本的な進め方
(1)対象者の把握 (2)指導計画の立案 (3)実施と評価 (4)実施上の留意点 (5)記録
4.健康相談・保健指導における連携
5.健康相談・保健指導における養護教諭の役割
まとめ
コラム)ICTを活用した健康相談・保健指導(関係論文/先行研究の紹介)
第4章 保健組織活動
1.保健組織活動の目的・意義
2.保健組織活動の法的根拠
3.学校における保健組織活動
1)学校保健委員会
(1)学校保健委員会開催までのプロセス (2)学校保健委員会の運営上の注意点 (3)学校保健委員会での研究協議の内容
2)地域学校保健委員会
3)児童・生徒保健委員会
4.養護教諭の役割
5.評価の観点
まとめ
コラム)生徒保健委員会と学校保健委員会との活動をリンクさせた実践研究
養護教諭の専門性と根拠にこだわった珠玉の一冊
本書は、養護教諭養成課程における学修領域「養護概説」のテキストとして、総論(養護学概論)と各論(養護活動論)の2部構成で作成しました。
総論では、養護教諭の専門性を理解するための基本的な事項を網羅し、また新しい時代に沿った考え方や理論も豊富に取り入れています(8章構成)。各論では、保健管理、保健教育、健康相談、保健組織活動の順に、養護教諭の職務内容を詳述しています(4章構成)。さらに、養護実践の根拠を示すため、本論に関連する研究や参考となる実践を「コラム」として多数紹介しています。
養護教諭養成課程ならびに養護教諭の先生方にも日々の養護実践の一層の充実のためにご活用いただける書籍です。